心も体もセンセー好みの女にされた俺(後編)

「っ……ふ、んん、ぅふ……ん」  ベッドに下ろされた途端、キスで口を塞がれた。歯列を割って強引に侵入してきた舌は熱く、ねっとりと口内を舐め回してくる。舌の裏をチロチロとくすぐられただけで、腰に快感が重く響いた。  なんか…

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心も体もセンセー好みの女にされた俺(前編)

 ななかの部屋から帰宅した俊は、玄関のドアを開けると、部屋の明かりがついていないことに妙な胸騒ぎを覚えた。内廊下の光が斜めに差し込んだ玄関に、いつも履いている佐野の革靴がない。  明かりを点けた部屋に入っても静寂が迎えた…

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センセーの妹がまさかのレズな件。(後編)

 俊がシャワーを浴びた後、佐野が用意した味噌汁と焼き鮭、きゅうりの漬物と炊きたてご飯の遅い朝食をすませると、正面で茶を飲んでいた佐野がおもむろに壁の時計を見上げて言った。 「あー、もうすぐ秘密兵器が来る頃だな」 「秘密兵…

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センセーの妹がまさかのレズな件。(前編)

 金曜日。 俊は寝床であるリビングのソファで目を覚ました。  すでに昼近くなのだろう、レースのカーテン越しに淡い春の光が部屋を満たしていた。  トントントン  ソファーの背越しから小気味好い音が聞こえてくる。体を起こした…

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愛の手引き(後編)

  *  その夜、キアラは夜着を着せるアズーラに話しかけた。 「アズーラってもうずっとここにいるのよね……。随分たくさんのものを見て、聞いて来たでしょうね……」 「ええ、それはもう。でも、この舌が災いを誘(いざな)うなど…

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お仕置きエッチ(前編)

「えっ、フロンターレとエスパルス!? 今日かよ! 急だな。いや、いくいく! 全っ然、暇。おお、じゃあ、あの駅近のカフェDで五時な」  シャワーを浴び、朝食がわりのコーヒーを入れていた俊は、譲(ゆずる)からのッカー観戦の誘…

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愛の手引き(前編)

 翌夜、キアラは好奇心で胸を昂《たかぶ》らせ、やや息を乱しながらラシャードの宮殿に踏み入れた。本から顔を上げた王子は「そこに」と、壁ぎわに積み上げられた大きなクッションの方を指し、昨日と同じように天井から吊るされたランプ…

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新しい家族

「ほんとうに、よかったの?」  夢から覚めるように思い出がすうっと引いていく。割り込んで来た尚紀の声が現実と私を繋ぎ始める。  老舗旅館の広縁から見おろす庭の景色がかたちを取り戻す。  満月が夜霧にしみてしっとりとあたり…

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女体化、とか。 (後編)

 俊は、座った男の上に向き合うように跨っていた。完全に座り切らず、女体化した俊の股間には、張り詰めた男の勃起の先端が浅く食い込んでいる。  男の手が俊の腰を掴み、力任せに体をグッと押し下げていった。  巨大な肉茎は亀裂を…

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幸せのヒント 2

*** 「比和さ、今度オレおまえに合わせて平日に休みとるから、動物園にでも行かねえ?」  私が尚紀と同棲し始めても、もちろん、「侑」としての仁と密会は続いていた。私に、必要不可欠なものだから。 「何? 急に。それは侑兄と…

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幸せのヒント 1

 尚紀とセックスをしたのは付き合って三ヶ月後だった。  有り体に言えば、私が誘ったようなものだ。『ご飯つくりにいこうか』と切り出し——比和子さんの手作り? 嬉しいな。じゃあ、好き嫌いある? ——こんな自然な流れで約束して…

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新しい男 3

 それから二、三日の内に何度か尚紀からメールやら来ていたようだけど、メールは読まずに削除。  電話にも応対する必要も無く無視。それもぴたりと止み、やれやれ、諦めたか。と胸を撫で下ろした頃、隆兄から電話があった。 「おまえ…

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新しい男 2

 それでも、私の存在を全く無視しているわけではなく、たまに私の方に顔を向け、返事を待つような素振りも見せた。  そんな時は一応適当に相づちを打って過ごした。それ以外は黙ってせいろと口の間で箸を泳がせ続ける。  あ、アメリ…

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巣立ち 3

 玄関の明かりがぱっと点くと、三和土にきちんと父と仁の革靴が並んでいるのが目に入る。仁の、溶かしチョコレートのような透明感のある艶の、上品な革靴を見るとなんだか胸にぐっと来た。  こういうの、悪い兆候だ。喉が渇く。  あ…

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巣立ち 2

 仁兄と一度セックスしたものの、その後も変わらず、私たちの間には清く正しい兄妹関係が一年近く築かれていた。  いや、『兄妹関係はもともと清く正しいもの』というのは当たり前の話なんだけど。社会通念では。  サービス業で週末…

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巣立ち 1

 侑兄は私と兄妹で良かったと言った。  仁兄は私と兄妹であることを残念に思っているようだ。  この違いって、なんだろう。  私の仁兄への気持ちは、一度だけ体を重ねることでなんとか収まる予定のはずだったけど、残念ながらどん…

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思春期 3

 唇で、唇を弄ぶように啄む口づけはやがて深さを増し、熱い舌が入り込んできてその小さな身をくねらせながら上あごや舌の脇をくすぐった。  唾液が混ざり合い、微かな水音がたつのにもそう時間はかからなかった。彼が私の舌をすくい、…

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思春期 2

 ***  出張の朝、着替えの入った少し大きめのショルダーバッグを斜に掛け、テイクアウトのカフェラテを片手に品川駅から「のぞみ」に乗り込む。  あっという間に過ぎ行く光景を、窓から目を細めてただ眺める。  寒気に澄み切っ…

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思春期 1

 抜き打ちで仕事場に侑が迎えに来る。  でも、来る日はなんとなくわかる。今日もね、ほら、スーツ姿で、モレスキンのトートを肩にふらりと閉店間際のショップに現れる。  店長に礼儀と愛想の絶妙なバランスの挨拶をして。 『じゃあ…

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時を駆けるうさぎ 2

 母が倒れた夜、仁兄は偶然駅でてつやくんに会ってそのまま飲みに行き、家に帰ったのが午前二時頃だった。  キッチンに倒れている母を見つけて、救急車を呼んだ。父に連絡して、侑と父は朝一で出張先から戻って来た。  彼らが病院に…

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時を駆けるうさぎ 1

 仁兄が家に戻って来たのは、彼が大学を卒業して半年ほど経ってから、彼のアパートの賃貸契約が切れたタイミングでだった。  再び侑、仁、私の生活が戻ってきた。ごく自然に。  もう、仁は脅威の存在じゃなかった。  彼の纏うオー…

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本当の兄弟 2

「ごめん、なんか自分見失って、ついがっついた。まず風呂でも入って汗流すか」  まるでマンガのキャラように、照れて頭を掻く隆兄が可愛く見えてしまう。  普段見せない兄の狼藉に、怯えた気持ちも消えてしまい、代わりに慈愛にも似…

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本当の兄弟 1

 あのときの、仁兄の言葉の意味なんて考える余裕が無かった。仁兄にバレたことで、侑兄と私の関係がどうなるか。それしか頭に無かった。仁兄が家を出て行ってくれたことでとにかく難を逃れた。そう思った。  侑兄にはあの日のことは話…

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負け犬

 侑兄が大学に受かった日のことはよく覚えている。底冷えのする冬の朝。  ずっしりと重そうな灰色の雲が空を覆い、湿っぽい空気が骨に沁みるようだった。  私は学校でそわそわと落ち着きなく携帯を何度となく見、合格の知らせを今か…

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本当に欲しいもの

 学園祭が終わって生活が落ち着きを取り戻した頃、京が黒崎君と付き合う事になった。彼が、京に告白したという。  いつもの放課後女子会で嬉しさを隠そうともせずに、笑みを満面に浮かべて報告する京は、無防備で、稚く、そして艶めい…

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天敵認定 2

 そして、ちょっとした事件が起きたのはその数日後だった。 「比和! ひどい! 親友だと思ってたのに!! 彼氏いないって嘘じゃない!」  登校してホームルームが始まる前に京に屋上に連れて行かれ、いきなりこのセリフ。  フェ…

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天敵認定 1

 九月一日始業式。教室に入り久々に会うクラスメイトに挨拶を流しながら自分の席へ行くと、「おはよー、ひ……」京が口を開いたまま、「ひ」で固まった。何事かと思いつつ彼女に視線をとめたまま、カバンから教科書を出しているところに…

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秘密の花園 2

 全てを投げ出したのは兄のほうだった。こんなに頼りない兄を見るのは初めてだった。  可愛い。侑兄は本当に困っている……。困っている人は助けてあげなきゃいけない。  侑兄は、私しか助けてあげられない。  兄の肩に顔を埋める…

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秘密の花園 1

 私と侑兄の関係は端から見れば、以前のように面倒見の良過ぎる兄と甘え上手な妹に戻った。いや、私の中では以前以上に。  でも、侑兄は私に対して一線を画していた。  腫れ物に触らないように、というよりは以前にも増して「模範的…

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勝負の行方 2

 黒板の隅に白のチョークで日付と、「日直」という文字、その下に「井守」と「岩崎」が並んでいる。先生の話を左から右に流しながら、その「岩崎」の字面をぼーっと眺めていた。ずっと見ていると他人の名前に見えなくもない。ノートにシ…

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