天敵認定 2

 そして、ちょっとした事件が起きたのはその数日後だった。 「比和! ひどい! 親友だと思ってたのに!! 彼氏いないって嘘じゃない!」  登校してホームルームが始まる前に京に屋上に連れて行かれ、いきなりこのセリフ。  フェ…

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天敵認定 1

 九月一日始業式。教室に入り久々に会うクラスメイトに挨拶を流しながら自分の席へ行くと、「おはよー、ひ……」京が口を開いたまま、「ひ」で固まった。何事かと思いつつ彼女に視線をとめたまま、カバンから教科書を出しているところに…

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秘密の花園 2

 全てを投げ出したのは兄のほうだった。こんなに頼りない兄を見るのは初めてだった。  可愛い。侑兄は本当に困っている……。困っている人は助けてあげなきゃいけない。  侑兄は、私しか助けてあげられない。  兄の肩に顔を埋める…

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秘密の花園 1

 私と侑兄の関係は端から見れば、以前のように面倒見の良過ぎる兄と甘え上手な妹に戻った。いや、私の中では以前以上に。  でも、侑兄は私に対して一線を画していた。  腫れ物に触らないように、というよりは以前にも増して「模範的…

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勝負の行方 2

 黒板の隅に白のチョークで日付と、「日直」という文字、その下に「井守」と「岩崎」が並んでいる。先生の話を左から右に流しながら、その「岩崎」の字面をぼーっと眺めていた。ずっと見ていると他人の名前に見えなくもない。ノートにシ…

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逢瀬 2

 仁兄と交わった後、ラブホテルを出て近くのハンバーガーショップに入った。  繁華街に近いせいか、いろんな種類の人たちで程よく混んでいた。  週末なのにスーツを着た金髪の若い男と派手な化粧で体の線がばっちり浮き出たワンピー…

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逢瀬 1

 私の上に覆い被さった仁兄は、ふと腕で体を支えて起こした。  お互い身に何も纏っていず、ベッドの中だ。私たちはレストランが開店したばかりの空いている時間に夕食を済ませ、ラブホテルに入った。休憩二時間。そして部屋に入った直…

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岩崎家

 私が実家のことを思い出す時、今の家ではなく改築前の家が瞼に浮かぶ。  祖母の小さな畑があった庭。さるすべり、つつじ、ライラック、椿に柿の木。 ホウセンカの鉢植え。日の当たる縁側。長年かけて磨かれ、黒光りする長い廊下。 …

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二人の騎士

 中学二年。告白はこれで二回目。  一人は同級生で、もう一人は一学年上のバスケ部の人だった。どちらもあまり好みの顔ではなかったので、断った。結構、私は面食いだ。揃いも揃って兄たちのスペックが高いのでそこは仕方がないと思う…

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勝負の行方 1

 夏休み前の土曜日。  ぽってりした雲が点々と薄水色の空に浮かんでいた。普通なら京でも誘って買い物や映画にでも行くのが普通だけど期末試験前とあってはそうも言ってられない。  私は朝ご飯の後、パイル地のホットパンツと、ユニ…

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