楽園へ

『レスアの公使が到着する前に、キアラは宮殿に来なくてはならない。公使はキアラと一対一の面会を所望している。そこで彼女はおまえの妻としてカルファの寵愛を受け、容認されたと自分の国の使者たちになんとしてでも証明するのだ』  …

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和解(後編)

 ラシャードに全裸にされても、まだキアラの中では愛と怒り、そして安堵がないまぜになっていた。ラシャードは彼女の体に腕を回して強く抱きしめると、首筋に顔をうめた。そうして体にキスをし始めると、キアラは細く長い息を漏らしてし…

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和解(前編)

 ラシャードと母親が面会したその夜、呼び出したキアラが庭にある小さな宮殿の一室に入ってくるのがわかったが、彼は絨毯の上のクッションに身体を預けながら、手にした羊皮紙を読むふりを続けた。  キアラが足早に駆け寄ってくる気配…

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制裁

 キアラがラシャードの宮殿を追い出されてから二日しか経っていなかったが、宮殿での生活はすでに遠い昔のように思える。  後宮では、ラシャードに見限られたキアラを同情の目で見る者もいれば、あけすけな嘲笑と蔑みを表情に浮かべる…

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陰謀

 サヒドの前に、満面の笑みをたたえた黒髪の女が跪いている。 「御運に恵まれましたわ。あの手紙がお役に立ったようで光栄です。捕まったレスア人は地下牢に閉じ込められ、娘は宮殿から追い出されて私と同じ後宮へ……。王子は娘への罰…

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別れ(後編)

 じわじわと膣壁を押し分けて逞しい肉幹が確実に自分を満たしていく。ラシャードのしなやかな身体にしがみつき、浅い呼吸を繰り返していたキアラは、身体を引き裂くような鋭い痛みに、思わず息を止めた。 「痛むか……。すまぬ。おまえ…

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別れ(前編)

 キアラは、陽がだいぶ高く昇った頃、清々しい気分で目を覚ました。  奥の浴室で水浴びをしたあと、明るい水色の、足首まであるアバヤドレスを着た。もうアズーラに身支度を手伝わせなくなっていた。  最後に、ラシャードに贈られた…

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焦がれる

 ラシャードが自分から距離を取ったことで、今までどれほど彼が自分の側にいたか、その存在の大きさを痛感したキアラは、眠れない夜を過ごしていた。  彼の手に触れたい、声を聞きたい、見つめ合いたい……ラシャードを焦がれる気持は…

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愛の手引き(後編)

  *  その夜、キアラは夜着を着せるアズーラに話しかけた。 「アズーラってもうずっとここにいるのよね……。随分たくさんのものを見て、聞いて来たでしょうね……」 「ええ、それはもう。でも、この舌が災いを誘(いざな)うなど…

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愛の手引き(前編)

 翌夜、キアラは好奇心で胸を昂《たかぶ》らせ、やや息を乱しながらラシャードの宮殿に踏み入れた。本から顔を上げた王子は「そこに」と、壁ぎわに積み上げられた大きなクッションの方を指し、昨日と同じように天井から吊るされたランプ…

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策士(後編)

「ラシャード様がお部屋でお待ちです」  アズーラの言葉にキアラの肩がびくんと跳ねた。  その言葉を心密かに待ちわび、気持の準備もついていたと思っていたが、いざその時が来ると、今にも膝の力が抜けてしゃがみ込んでしまいそうだ…

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策士 (前編)

 ラシャード王子と初めて話をしてから一週間が経っていた。その間、彼は時間があるとキアラの元に来て、隣に座らせた。  噴水の水が風に散る、色彩豊かな花が萌える庭で、ある時は本を共に読み、また語り合った。王子はジュナイの伝統…

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ラシャード王子

「具合はいかがです?」  キアラが目を覚ますと、ぼんやりとした視界に人らしき影が入り込んできた。同時に、背中から頭に掛けてズキズキと疼くような痛みが襲う。 「ここは……どこ?」  痛みに顔を歪めながら、キアラは輪郭のはっ…

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奴隷

 石を積み重ね、隙間を漆喰で埋めただけの簡素な奴隷商の小屋の部屋では、粗末なむしろに少女や若い女たちが身を寄せ合いながら座っていた。  天井近くの窓は、人の頭がやっと通れるほどで、そのうえ一本の鉄棒が中心に通っている。外…

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