お仕置きエッチ(前編)

「えっ、フロンターレとエスパルス!? 今日かよ! 急だな。いや、いくいく! 全っ然、暇。おお、じゃあ、あの駅近のカフェDで五時な」

 シャワーを浴び、朝食がわりのコーヒーを入れていた俊は、ゆずるからのッカー観戦の誘いをLINEで確認すると、速攻電話でオーケーした。

 高校三年間のサッカー部で野中のなか譲と俊は主将、副主将そして親友の仲だった。

 主将のくせに細かいことを考えすぎて押しの足りない俊を、譲がいつもフォローしてくれる、そんな頼もしい存在で、これも俊にはない底抜けの明るさと、面倒見のいい性格で、先輩、下級生からも人気があった。

 もし、自分が女だったら絶対に惚れていた。……女だったら。

「いくいくって、朝から随分、お盛んじゃねーか。少年」

 後ろから寝起きの掠れ声がして、俊はハッとして振り向いた。

 Tシャツとボクサーパンツ姿の佐野がキッチンの入り口に寄りかかって不機嫌丸出しの顔を見せていた。

「別に……あんたには関係ないだろ」

「そんな口聞いてると、鍵、取り上げるぞ」

 隣に来た佐野は、俊の手からコーヒーのマグカップを取り、一口飲んだ。佐野の一言に、俊は文句を言いかけた口を閉じた。 

 実は今、俊は佐野の部屋に住んでいる。

 体が女体化し、それはいつ何時変調をきたしてもおかしくはない。様子見のために、うちに来い、と佐野は説き、俊はスポーツバッグ一つに身の回りのものを詰めさせられ、ほとんど無理やり佐野の住むマンションに連れてこられたのだった。

 部屋は高層マンションの7階で、窓からは市内が一望できるし、室内にはシンプルだが、高級そうな家具が置かれている。

 一人で暮らすには広すぎる間取りで、ただの養護教員の払える家賃でないことは一目で知れた。

 佐野浩二。謎が多すぎる男だ。

 俊のベッドはそのだだっ広いリビングに置かれたどでかいグリーンのソファで、その周辺が彼のテリトリーだった。

 一応、どの部屋も出入りを許され、冷蔵庫の中身も飲み食い自由。ネット環境も整っている。

 それに、俊も体に異変が起こった時に、頼れるのは佐野だけなので、ありがたいといえばありがたい。だが、軟禁であることは間違いない。

「……譲と、Jリーグの試合観にいくんだよ。昨日の夜、奴のバイトの先輩が急に行けなくなったって、チケット譲ってもらったって」

「譲? ああ、野中譲、か。お前、高校ん時ベタベタしてた奴な」

 なんで知ってるんだよ、と胸中で毒づくが、家の鍵をちらつかせられると、俊も弱い。

「へー、いいけどさ、サッカーぐらい。でも、その体で行くって、あっちも了承してんだろうな。いきなりそれじゃ、向こうもサッカーどころじゃねえだろ」

「あ」

 俊は目線を下に落とし、Tシャツの胸部の膨らみを見て「しまった」と気がついた。

 久々に友達と遊べる、それも大好きなサッカー観戦に相当浮かれていた分、自分の身に起こった現実に一瞬で叩きのめされたダメージは大きかった。

「まあ、外はまだ薄ら寒いからパーカーでも着ていきゃ、なんとか誤魔化せるかもしれないけどさ、ギリギリだぞ」

 ヘラヘラと笑う佐野を上目で見ながら、俊は体の横で拳を握りしめた。

(誰の……誰のせいだと思ってるんだよ……)

「俺に揉まれて、最近、乳もでかくなってるみてーだし?」

 不意に伸びてきた手に、ガシッと乳房を掴まれ、俊は身を固くした。いくらTシャツの上からでもブラなんぞつけていないナマ乳から、食い込む指の感触がダイレクトに伝わってくる。

 抑えていた怒りの炎に羞恥という油がどっと流れ込み、一瞬で燃え上がった。

 ガシャン!

 何かが割れる音にハッと我に返ると、カウンターに後ろ手をついた佐野の足元で、マグカップが割れていた。コーヒーが飛び散り、辺りに茶色いシミを作っていた。

「……って……ぇ、お前、本気で殴ったな」

 顔を上げると、佐野が左の頰を抑えて顔を歪めている。右の関節が、熱い。そうか、俺、殴ったのか。

 佐野が自分の指先を見て、小さく舌打ちした。

 口の端が切れて出血している。それを見て、俊は胸に広がりつつある後悔を、相手の自業自得だと言い聞かせて押しとどめた。

「殴られることしたのはどっちだよ」

 吐き捨てて、俊はバスルームに逃げ込んだ。そのあと、すぐに佐野が家を出ていく音が聞こえた。

 *

「サイコーだったな、今日の試合! フロンターレ、最近ずっと調子いいもんな!」

 ガシガシと頭を拭いているタオルの下から、譲は上機嫌に言った。

 試合は、最初は押されていたものの、後半フロンターレが猛反撃に出て圧勝。

 だが、勝利の歓喜に湧くサポーターの熱を、試合終了直後の激しい夕立が一瞬で冷ました。

 俊はずぶ濡れになりながら、等々力陸上競技場から二駅離れた譲のワンルームマンションに避難した。

「お前、先にシャワー浴びろよ。そのままだと風邪ひくぜ。俺、後でいいから」

「お、サンキュ」

 まだ完全に興奮冷めやらぬ俊も、何も考えずに返事をしたが、ユニットバスのドアを閉めて、体は女だったと思い出した。

 だが、待ち合わせ場所で会った譲は、大きめのパーカーにジーンズ姿の俊を見て、最初こそ『なんか、感じ違うな。痩せたか?』と心配したが、結局今まで女体化はバレなかった。

 ここで出て行ったら、却って不自然だろう。そう思い、俊はさっさと裸になると、シャワーの栓を捻った。

「俊、ここに俺の着替……え」

 ユニットバスに片足を入れかけると、突然ドアが開き、譲が顔を覗かせた。俊は反射的にその場で硬直した。鍵をかけ忘れたことに気がついたが、時すでに遅し。

 俊は、自分の顔からゆっくり下へ移動する譲の視線を肌ではっきり感じていた。

 さあああああっと耳の中で流れるのはシャワーの音か、降りていく血の音か。 

「俊、お前……」

「こ、これは……」

 譲が狭いユニットバスに入ってきた。後ずさりしようにも、すぐ後ろは洗面台で逃げ場がない。俊は胸を手で隠そうとしたが、手首を掴まれ、阻まれた。譲の視線が乳房に張り付き、そこだけ熱を持っているように熱くなる。

「俺、なんか、変な病気でさ……こんな体に……」

 そんな下手な言い訳に俊は自分で呆れたが、譲は全く聞いていない様子だった。顔を乳房に近づけてくる。

「な、なあ、さ、触ってもいいか」

 心なしか、声が上ずっている。俊は相手の出方に困惑したが、普通に振る舞ったほうがいいと咄嗟に判断した。

「あ、ああ。別に、なんともねえし」

 そうだ。なんともない。俺は、男だ。胸くらい……触られても。

「すげ、柔らけえ……吸い付いてくる」

 譲はすぐに両手で乳房を捏ねてきた。円を描くように、いやらしい手つきで揉んでくる。

 想像以上の不快感に俊は吐き気を覚えた。俊は身をよじらせて逃げるそぶりを見せた。親友なら、嫌がればすぐにやめてくれるだろう。だが、その予想は見事に外れた。さらににじり寄ってきた相手が、生唾をゴクリと飲む音が聞こえた。

「ちょ、ちょっと舐めてもいいか?」

「え? えっ……」

 かなり興奮しているのか、譲は俊の返事も待たずにむしゃぶりついてくる。

「ちょ……や、……んっ……」

 乳房を下かられろっと舐められ、肌をチュッと吸われた。ちくっとした痛みにみぞおちのあたりがかすかに疼いた。

「なんか、甘ぇ……」

 両脇から掬うように乳房を揉みしだいていた譲は、顔を押し付けてベロベロと乳房を舐め回してくる。

「いや……っ、ちょ、ま……っ」

(なんか、佐野と……全然違う)

 そう思ったら、もうダメだった。譲の舌の感触が、ナメクジが肌を這い回る錯覚に変わった瞬間、ぞわっと鳥肌がたち、渾身の力で相手の体を押しやっていた。

「も、やめてくれよ。俺、今、これ……治療中だからさ」

 まだ、ハアハアと息を乱し、ギラつく目を向ける相手を肩で押しのけて、俊は床に落ちた譲のTシャツを拾って素早く着替えた。

「悪いな、これ、なるべく早く返すよ」

 自分の濡れた服を抱えて譲のアパートを飛び出す。すでに雨が止んでいたのがまだ、救いだった。

 *

 家に帰ると、家中の電気が消えていた。寝室の細く開いたドアから漏れた光が床に線を引いていた。

 佐野は、いつもこうして少しドアを開けている。それはいつでも入ることを許されているようで、俊は佐野のその心配りが嬉しかった。

 寝る前に、Tシャツとトランクスになった俊は、佐野を殴った気後れがあったものの、相手の様子が知りたい気持ちの方がずっと勝り、つい寝室に足を踏み入れていた。

 気がついた佐野が、タブレットから目を上げる。彼はそれをスタンドの下に置いた。

「おかえり」

「ああ」

「楽しかったか」

 そう尋ねられ、ついさっき親友から凌辱されかけた記憶がフラッシュバックする。胸がムカつき、思わず唇を噛んだ。佐野の隣で眠りたい。そんな気持ちが衝き上げたことに、自分で驚いた。

「どうかしたか?」

 佐野の察しの良さが、こんなとき疎ましい。俊はバカな考えを振り払うように軽くかぶりを振った。

「じゃあ、俺、寝るから」 

「ああ……、俊」

 踵を返した俊に佐野が呼びかけた。

「俺、男に戻すから。お前を。少しだけ、待っててくれ」

「ああ……頼むぜ」

「お前、俺の顔見るの嫌だと思うから、なるべく外に出るようにするけど。ムカついたら殴っていいから」

「ああ……」

 ドアノブに手をかけた俊は体を反転させると、まっすぐに佐野の元へ行き、隣に立った。

 スタンドの淡い光に浮き上がる、唇の端の傷をじっと見下ろした。

 俊は指先でそこに触れた。痛くはないだろうが、反射的に佐野は顔を歪めた。

「痛かった?」

「ああ」

「あんなの、まだ本気出てないから」

「マジか」

 佐野が一瞬、顔をこわばらせた。俊は思わずふっと笑ってしまう。

 そして、吸い込まれるように相手の方へ身を屈めていた。

 唇が、切れた口の端に触れた。佐野が息を呑むのが、耳のすぐそばで聞こえた。でも、微動だにしない。

 すぐに、顔を離す。相手の穏やかな視線と俊のが交じり合う。

「俺と、したいの?」

「したい」

 即答に、ドクンと心臓が高鳴る。

「俺、男だよ。こんな体だけど」

「どんな体でも、高嶺俊だ」

「何? おっぱいついてりゃいいの? ちんぽなきゃ、いいの?」

「俺は高嶺俊のおっぱいを吸って、高嶺俊のまんこに入れたい。お前の声を聞いて、イク顔を見たい」

「ばっかじゃねえの。変態」

「だめなのか?」

「何がだよ」

「お前の、心も体も欲しいと思うのは」

 強い目で見据えられ、俊は顔を火照らせた。

「わ、わかんねえよ。じゃあ、俺が男でも同じこと言えんのかよ」

「男だったら、こうなってなかったな」

「そうだろうな」

「でも、今は違う。俺はお前が可愛くて仕方がない」

 虚を突かれた俊は、取り繕うようにすぐに「ふん」と鼻を鳴らした。

「お前が、部屋に入ってきた時から、俺は発情してる」

 俊は、「まさか」と曖昧に笑って掛布の下に手を突っ込み、股間に触れた。ガチガチだ。

「部屋に入って……って、早すぎだろ」

「いいから、もう寝ろ。俺、今からこいつの処理するんだからよ」

「俺をオカズに、か」

「他にあるのか? 他で、お前はいいのか?」

 直球の言葉に、俊は胸を抉られた気がした。ーーいやだ。他の女で抜くな。

 何も返せない俊に、佐野は言葉を継いだ。

「ならーーお前でいいのか?」

 佐野の声が、不意に獰猛さを含んだものに変わる。俊の背に悪寒が走る。

「お前に俺の欲望をぶちまけても」

 俊はゴクリと喉を鳴らした。心が悦びで疼き、ほてり始めた体は、このまま燃え上がってしまいそうだ。

「お前と野中が仲良くしてんの想像すると、今日一日嫉妬でおかしくなりそうだった。でも、お前があいつを気に入ってるならーーと我慢した。でも、俺は我慢しなくていいんだな?」

「恥ずかしいこと、何度も言わせんな。喋りすぎなんだよ」

 俊は佐野の顔を両手で挟むと同時に、唇を相手の唇に重ねていた。

 キスをした瞬間、相手を憎んでいることも、自分が男であることも頭から消し飛んだ。

 それほど、普段冷笑を讃える佐野の唇は、暖かく、柔らかかった。

 先手を打ったはずだったが、俊はそれだけで逆上せてしまい、まるでファーストキスであるかのように、怖気付いてしまった。

 フッと佐野の口角が上がった気配がしたと思うと、差し出された舌先に、唇を割広げられる。

 無防備な舌はすぐに相手に絡め取られ、ねっとりとした舌の動きに翻弄された。

 ぴちゃぴちゃと唾液の音を聞かされ、自分がどれだけ飢えているのかを知らされる。体から力が抜け、佐野に寄りかかるように両手は相手の顔から胸へ落ちた。同時にストン、とベッドに腰掛けた。

「ん……っ、ぅ……んっ」

 頭の芯が痺れるくらい強く舌を吸われると、全身が燃えるように熱くなり、子宮がキュンキュン収縮する。

 キスはますます深くなり、流し込まれた唾液を無意識に飲んでいた。脈は興奮で速まり、俊は切なさと苦しさに喘いだ。

 急に呼吸が楽になると、佐野が唇を離したのだとワンテンポ遅れて気がついた。思わず、相手の唇を追いかけた自分が恥ずかしくなる。

「俺に、触って」

 唇の上でささやかれ、朦朧としていた俊は訳がわからず、ただ滲む視界で相手の顔を見つめていた。すると佐野は俊の右手をとって、股間に導いた。

 混乱する俊の手の下で、佐野は腰を軽く揺らした。灼熱の塊の感触には確かに覚えがあったのに、佐野のものだというだけで、狂ったように心臓が早鐘を打つ。

 動けないでいる俊の代わりに、相手が動いた。掛布をはねのけ、ボクサーパンツの縁に両手をかけ、腰を浮かせて下着を下ろしていく。俊の手の下でゴムが擦れた。

 直に佐野の肉棒が触れ、その柔らかな皮が肌に吸い付いてくるような感じに、自分が手に汗をかいていたのに気がついた。

(熱い……硬い……すごく)

 モロ出しになった性器はすでに極限まで勃起しているようだった。

 かつての自分のペニスをはるかに凌ぐ大きさ。堂々とそそり立つ怒張の先は傘が開いたようにくっきりとカリが張り、長く逞しい肉竿には血管が浮き上がっていた。こちらを威嚇するように猛々しく反り返っている。

「気持ちよくしてくれよ。お前が俺にどんだけ従順か、見せてくれ。やり方、わかるだろ?」

 俊はその言葉に誘われるようにして、股間に顔を寄せた。

 直立した肉棒に手を添え、緊張しながら、長く舌を伸ばして裏筋を陰嚢の方から亀頭の先端まで一気にペロリと舐め上げた。

「……っう」

 手に触れる陰嚢の震えが伝わる。じわりと先端に滲んだ先走り汁を、唇をすぼめて軽く吸う。

「ぁあっ……」

 目だけを上げると、佐野が切ない表情で喘いでいた。胸に嬉しさがこみ上げ、口の端で笑った。

(もっと、気持ちよくなってほしい)

 俊は大きく口を開けると、根元を食み、砲身に舌を這わせ、口いっぱいに頬張った。肉棒を深く咥えこんだ。

 じゅぼ、じゅぽっ、じゅるっ。

 口内に溜まった唾液を幹にまぶすように、派手な水音を立て、佐野の息子をしゃぶり回した。

 唇でぴっちりと肉茎を締め付け、頰をへこませて口内粘膜をこすりつけるように頭を前後に振り立てる。

「ぁ、ああ、いい、すげ……」

(当然だ。こいつの扱いは嫌という程知り尽くしている。元男をなめんなよ)

 佐野の腰が揺れ出す。ただでさえ普通以上にデカイもので口が塞がれて苦しいのに、丸い先端が喉の奥を断続的に突き、吐きそうになる。

(調子に乗るな……)

 頭では悪態をつきながらも、俊は佐野の剛直に挑んでいった。

(お前なんかソッコー行かせてやる……)

 舌で擦り、くすぐり、指で根元を扱き、陰嚢を揉む。

 でも、おかしい……。自分が攻めているはずなのに、どんどん興奮してくる。

 ヌルヌルのちんぽを吸っている唇や、舌の粘膜が摩擦する感触が気持ちよくて仕方がない。

「う、んっ、ふ……っ、あふ……っ」

(なんだこれ、腰がムズムズする。俺、すげえいやらしい)

 俊の、ペニスが姿を変えたクリトリスが、脚の間でズキズキ脈打っているのがわかる。襞が熱を持ち、そこはすっかり蕩けている。

「やべ……気持ちいい……すげーよ、お前……男のお前は生意気で、俺、嫌いだったけど……でも、」

 佐野の言葉にぞくり、と悪寒が走った。

「どうした?」

 急に動きが止まった頭を、くしゃっと大きな手が撫でて来た。

(そうだ。俺だって、あんたなんか嫌いだったよ)

 それなのに、喉まで使って口淫するのは佐野を喜ばせるためであると同時に、己の欲望を満たすためだった。現に俊はひどく興奮していて、身体中が切なく疼き出している。こんな最低な男のペニスを美味しいと思う自分こそ変態だ。

 俊は、佐野の本音を知り、一瞬でも感じた寂寥感を振り払うように、激しく頭を前後させた。

(何も考えたくない。今は、こいつを気がすむまで味わいたい)

 先走り汁が混ざった唾液をジュルジュルっと音を立てて肉棒ごと吸い上げ、飲み込み、勃起に絡めた舌を蠢かせた。

 しゃぶり立てていたペニスがびくびくと震え、口の中でさらに膨張した。

「ふーっ、ぅ、ふ……うっ、あむぅっ」

 大きく振っていた頭を、いきなり両手でがしりと掴まれた。フィニッシュが近いのだろう。

 佐野は俊の頭を固定したまま、激しく腰を上下させた。

「う……ぁ、ぁはあ、はあっ……ッハア」

「ぬっ……んうっ、ぅんっ……っ……ぐぅ……」

 佐野の怒張で喉を突かれるたびに、俊のフレッシュな子宮が精子を求めて狂おしいほどに疼いた。

 口の端から涎が流れ出す。顎が痛い。苦しさからか、男に口内を犯されているという異常な状況の興奮からか、頭がくらくらしてきた。

 それでも俊は、ほとんど痺れた舌の上で肉棒が気持ちよく擦れるように、ますます張り詰める勃起に必死でしゃぶりついていた。

「あ、ああっ、もう出る、俺、出すぞ、出すぞ、くっ……………はぁあっ!」

 激しい勢いで放たれた精液が俊の口内で一気に溢れた。苦しさと、その雄の生々しい匂いにえづきそうになったが、それでも肉棒ごと呑みこむ勢いで、大量の精子を飲み下していく。

 吐精後の、脱力した体が枕に沈む。佐野は浅い呼吸に胸を波打たせたまま、まだ情欲冷めやらぬ眼差しで俊をじっと見ていた。

 その視線に、俊はフェラチオをしながら自分も興奮していたのを咎められている気がした。

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